あしたや・はらっぱの店先に小さな袋の入った和布がおいてあります。お目にとまりましたでしょうか。
これは和布の好きなスタッフが古い着物をほどいて作っているものです。タンスの隅に着ることのない着物を見つけたら活かす工夫をしてみてはいかがですか。穴があいていたり、カビがはえていてもあきらめないで、きれいなところだけ使えばいいのです。
着物をまずほどきます。ほこりがひどく臭いがきつい場合は、マスクをかけたり、外でやることをお勧めします。
布地が弱くなっていますから強く引っ張らないように、優しく、気長に楽しみながらほどいてください。
一針一針丁寧に縫われた針目を見ていると、「どんな人が、どんな思いで縫っていたのだろうか。出来上がったときの気持ちは…」と昔の人の生活に思いを寄せ、物を大事に丁寧な暮らしがよくわかります。
そして、物があふれ、使い捨ての今の私たちの暮らしは本当に豊かなのだろうか。考えさせられることがたくさんあります。
それにしても着物の形は誰が考え出したのか。ほどくと一枚の布になる。昔の人の知恵にただただ感心してしまいます。古い絹の感触は優しく手になじんできます。
ほどき終わったら洗濯機でガラガラ回します。乱暴なようですが、この過程で布地として使えるかどうかが判明します。色おちには気をつけて。生乾きのうちにアイロンをかけます。布地を伸ばしすぎないようにご注意を。
洋裁の得意な方は、オリジナルの洋服やバックはいかがでしょう。着物の幅を生かし、直線を組み合わせても古い布は趣があります。針仕事が苦手なかたは小さく切って、はがきにはってみてください。額に入れて飾っても素敵です。
ボロボロになった布は、細く裂いてひもにします。織物にしても、太い編棒ザックリ編んでも立派によみがえります。古い着物を見つけたら、ぜひやってみてください。心豊かな一時が訪れることでしょう。使い切れない方は、あしたやにお持ちください。大事に扱わせていただきます。